公共交通機関(電車・バスなど)での性暴力(痴漢)についてのフェミニスト行動派の活動です。
1.年表
2012年
6月
20日 上海地下鉄第二運営公司の公式微博、下着が透けている服を着た乗客の写真を掲載し「こんな恰好をしたら、痴漢にあわないほうがおかしい」と言う。翌日以降、ネットで抗議広がる
24日 上海地下第二運営公司の公式微博に対して、地下鉄内で抗議のパフォーマンスアート、「私はみだらでもいいが、あんたのセクハラは許さない」「涼しさはほしいが、痴漢はいらない」というスローガン掲げる(@想起的花開ら2人の女性)
(26日 黄溢智弁護士、上海市運輸・港湾管理局と上海地下鉄公司に対して痴漢防止策について情報公開申請)
8月
(22日 全国各地の10人の男性弁護士が、上海申通地下鉄公司に対して、「上海の軌道交通の運営においてセクハラ防止メカニズムを打ち立てることに関する建議」を提出。その後、8~9月に、その10人のうちの5人は、北京・天津・深圳・成都・南京の地下鉄運営会社に、それぞれの都市の会社にセクハラ防止策についての情報公開申請)
9月
・この月、広州の地下鉄で、女性のスカートに精液をかける「射狼」と呼ばれる痴漢が話題に
21日 梁海媚、広州地下鉄に公開書簡を送るとともに、公衆地下鉄に痴漢防止策を制定させる署名を呼びかけ(27日、署名のホームページ公開、利用者1000人の署名を目標に)
(26日 柯倩婷(中山大学副教授、中山大学ジェンダー教育フォーラム)、広州市交通委員会・広州地下鉄総公司に対して痴漢防止策の情報公開申請)
11月
25日 北京地下鉄で《陰道独白》(ミニスカートは誘惑じゃない)フラッシュモブ(@嘛都不董、 @肖美腻、 @小花--wo、 @布拉耳ら、若い女性たち)
2013年
6月
27日 鄭州公交総公司に苗苗(仮名)が手紙を送り、公共交通での痴漢防止措置を要求するとともに、自作のスローガンを書いたステッカーを車両に貼るように求める
2014年
11月
27日 若い女性2人(中山大学学生・万欽[@羊駝青]、市民・于磊[@我形象好気質佳])が、広州市交通管理委員会にバス・地下鉄での痴漢防止についての建議を手渡す。同委員会の前でも「赤ずきん」の扮装でアピール
12月
5日 上の2人を含む5人が、広州市の交通管理委員会、地下鉄総公司、旅客輸送管理処、公安局(地下鉄分局・公共交通分局)の職員と会談、一部の項目について前向きの回答を得る
23日 2人が、広州市の公共交通の痴漢問題に関して、六者会談(12月5日に会談した四者+広東省の婦連と婦女児童工作委員会)の招待状を持って婦連を訪問し、省婦連の権益部長と会談、前向きの回答を得る。
31日 フェミニスト行動派の微博、来年1年間、バスや地下鉄の痴漢防止措置を求める活動をする「大紅帽(大きな赤ずきん)」のボランティアを募集
2015年
1月
10~12日 万欽ら、広州市の人民代表大会の代表に、「公共交通のセクハラ防止メカニズムを構築する建議」を審議するように求める119通の書留と140通の電子メール。
3月
6~7日 フェミニスト活動家5女性(李婷婷[李麦子]、鄭楚然、武嶸嶸、王曼、韋婷婷)が、国際女性デー前日(3月7日)にバスの中でステッカーを配布するなどの痴漢反対アクションを計画したという理由で、警察に拘束される。
2016年
2月
2日 全国8省・市(広州、淄博、重慶など)のフェミニストら10人余り(張累累ら)が、10余りの省の郵便局から人代の代表や政協の委員に、合計1000通余りの公共交通の痴漢防止システムを作る提案を提出することを求める建議の手紙
3月
広州のF女権小組、広州地下鉄の駅に痴漢反対の公益広告を出すためのクラウドファンディング開始(4月27日までに3.8万元集める)。
4月
28日 3人の青年が広州市交通管理委員会陳情事務局に痴漢反対の宣伝をするよう申し入れ。「誘惑は言い訳にならない。痴漢をやめろ」というスローガンの下で、女性の手が痴漢の手をつかみ、周りの者たちが「やめろ!」「やめろ!」「やめろ!」と声をあげているポスターを提案。
2017年
5月
1~17日 張累累の呼びかけで、全国各地の街頭、大学、電車、バス、駅の中で、合計100人近い若い女性のフェミニストたちが、掲載を断れられた痴漢反対ポスターを貼った掲示板を身につけてアピールするアクション
17日 警察が張累累に圧力をかけ、運動を中止させる。また、これ以後、執拗に広州からの引っ越しを強要される。
6月
14日 上海地下鉄に痴漢に警告するポスターが看看新聞(上海テレビ・ラジオ局傘下のメディア)により掲示されたことが伝えられる。
23日 広州地下鉄が「女性車両」導入。
26日 深圳地下鉄が「女性優先車両」導入。
8月
1日 北京地下鉄に痴漢に警告するポスターを北京市婦連が掲示(~14日)。
10日 成都地下鉄に痴漢に警告するポスターが成都地下鉄により掲示されたことが伝えられる。
20日 深圳地下鉄の購物公園駅に痴漢に警告するポスターがゲーム会社・テンセント(騰訊)により掲示されたことが伝えられる。
11月
17日 猪西西、セクハラ禁止マークの普及活動開始。
2.関係ブログ記事
2012年6月:「痴漢を女性の服装のせいにする上海地下鉄の公式微博に対する、ネット内外での女性たちの抗議のうねり」(2012/06/30)
2012年6~10月:「各地の弁護士・市民が地下鉄会社に対して痴漢防止策の建議・署名運動」(2012/10/25)
2014年9月~2015年1月:「広州で若い女性たちが公共交通の痴漢対策について交通管理委員会、地下鉄公司、警察、婦女連合会などと会談――各地で『赤ずきん』姿で痴漢・セクハラ反対活動」(2015/01/24)
2016年2~4月:「広州地下鉄にクラウドファンディングによって痴漢反対ポスターを掲示する試みなど――2016年の女性たちの公共交通での痴漢反対運動」(2016/08/01)
2017年1月~6月:「自作の痴漢反対ポスターを身につけて街頭や地下鉄・バス内で見せる全国各地のフェミニストのアクション」(2017/06/19)
2017年6月~7月:「中国における女性専用車両導入とフェミニストによる批判」(2017/09/14)
2017年6~8月:「反痴漢アクションに対する弾圧強化の一方で、公的機関による反痴漢ポスター登場」(2017/10/02)
関連文献として、とくに「中国の公共交通機関における性暴力反対運動と女性専用車両──香港・台湾・日本との初歩的比較も──」(『女性学年報』第39号 2018年)も参照