(『毎日新聞』1984年1月12日7面 投書欄)
学生 遠山日出也 23
日本の男性は「働きすぎ」と言われている。しかし、家ではただゴロッとしているだけというのも、また典型的な日本の男性の姿であろう。つまり「働きすぎ」と言っても、厳密には企業のために「働きすぎ」であるだけであって、家庭では「働かなさすぎ」と言えるだろう。
そのために、共働きの女性は家事・育児を一人で背負って随分苦労していると聞く。私はまだ学生だが、将来家庭で「働かなさすぎ」て女性に迷惑をかけるような男性にはなりたくない。
折しも男女雇用平等法に関して、男女ともに余りの長時間労働はなくして、男性にも家庭参加できる条件を作ってゆこうとする動きがある。賛成である。「日本は資源小国だからそれは無理」との声も経営側から出ているようだが、製品の不必要なモデルチェンジや人工的「流行」で資源の浪費をあおっている企業が、そのようなことを言っても説得力に欠けるのではあるまいか。(東京都文京区)
・投書のタイトルは、私が付けたものではなく、『毎日新聞』が付けたものです
・最後の箇所は、的確な反論にはなっていないかもしれませんが、松崎芳伸(日経連専務理事)×中島道子(弁護士)「男女雇用平等法:『女は家庭に』が崩れるとき 激突対談・男女同一労働条件では日本経済はもたないか」(『朝日ジャーナル』1983年11月18日号)の中の、松崎氏の発言「結局、日本は資源も何もない国ですよ。(……)一億一千万人の人間がおまんまを食うということがまず先決じゃないですか。」という箇所が念頭にあったと思います。