関西中国女性史研究会

(2017年9月15日更新)

 この研究会にはまだホームページがありませんので、僭越ながら私がここで簡単に紹介させていただきます(遠山日出也)。
 関西中国女性史研究会には、文学、語学、歴史学などさまざまな分野と、古代から現代までのさまざまな時代を専門とする研究者が集まっています(女性の方が大部分です。代表は野村鮎子・奈良女子大学教授)。

目次

次回の例会最近の例会(別のページ)|関西中国女性史研究会を紹介した文章|出版物(『ジェンダーからみた中国の家と女』『【増補改訂版】中国女性史入門』|本会との関わりが深い出版物*(『台湾女性史入門』『台湾女性研究の挑戦』)

*本会の出版物ではないが、多くの会員が作成に参加したり、本会の例会を基礎にして作成された出版物を指しています。

次回例会は、衣若蘭氏講演会をもって代えます

日時:2017年10月21日(土)
場所:奈良女子大学生活環境学部会議室
T部 13:00〜16:00
 衣若蘭氏講演会(日本語翻訳文を準備します)
 テーマ:「夫婦の情と死後の世界――明清夫婦合葬墓誌銘の体例研究― 」
U部 16:00〜17:00
 科研申請打ち合わせ会

※最近の例会の内容はここをクリック(別のページに行きます)

関西中国女性史研究会を紹介した文章

野村鮎子「関西中国女性史研究会について」『アジア・ジェンダー文化学研究センターニューズレター』No.1(2002年3月)
筧久美子「紹介:「関西中国女性史研究会」の歩みと『ジェンダーからみた中国の家と女』などについて」『日本中国学会便り』2003年第2号(2003年12月)
野村鮎子「関西中国女性史研究会について」『ジェンダー史学』第9号(2013年10月)

出版物

関西中国女性史研究会編『ジェンダーからみた中国の家と女』(東方書店 2004年)(版元品切、amazonのページ

以下の内容の論文集です。

T女の役割と家
 中純子「隋唐時代の医書にみえる出産観―家の継承と女性」
 杉本史子「中国近代における家事科教育―その導入と抵抗」
 竹内理樺「何香凝―家と政治に生きた女性指導者」
U女の規範と家
 臧健(大平幸代訳)「宋元から明清時代の家法が規定する男女の役割」
 林香奈「賢ならざる婦とは―女訓書に見る家と女」
 伊藤徳子[=上原徳子]「白話小説に描かれる商家の妻」
V語られる家と女
 大平幸代「女と門風―『世説新語』における話柄としての妻」
 野村鮎子「士大夫が語る家の中の女たち―ジェンダーの視点からの古典研究の試み」
 筧久美子「清末の客家・五世同堂の女性たち」
W家を拒む女、家を求める女
 成田靜香「自梳女の家−広東の婚姻文化」
 濱田麻矢「生家を出た娘たち―民国期の恋愛小説を読む」
 劉小俊「保姆たちの家への渇望―王安憶『富萍』と『鳩雀一戦』について」
X女性解放論者の家と妻
 西川真子「胡適と江冬秀―民国時期一知識人の家」
 鮑家鱗(津守陽訳)「徐志摩の結婚と離婚」
Y家のかたち、女のすがた
 大澤正昭「『五口之家』と『一家百余口』―唐宋変革期の『家族』をめぐって」
 中山文「袁雪芬と上海の越劇―家と女をめぐって」
(編集委員長:野村鮎子、編集委員:筧久美子、中純子、中山文、成田靜香、西川真子、林香奈)

関西中国女性史研究会編『【増補改訂版】中国女性史入門』(人文書院 2014年 2300円+税)(amazonのページ

 古代から現在に至るまでのさまざまな事項を取り上げた、77のトピックスからなる中国女性史の啓蒙的専門書です。
 読みやすい文章で図版も豊富であり、興味深く読んでいただける本だと思います。各項目には「研究案内」も付いています。

T 婚姻・生育
 現代中国の婚姻制度/現代中国の離婚/ドメスティック・バイオレンス/旧中国の婚姻/売買婚/少数民族の婚姻/女児より男児/一人っ子政策  コラム:婚姻法貫徹運動/「二夫にまみえず」を貫いて/魯迅と郭沫若の結婚/妻の質入れ・年季貸し/童養[女+息]の悲劇/現代の人身売買
U 教 育
 女訓書/『列女伝』/旧中国の家庭教育/女学校の誕生/女学生の登場/世界に羽ばたく女子留学生/男女共学/農村女性の識字問題/女児失学/現代の女子学生   コラム:『本朝列女伝』/女紅/北京大学の門を叩いた女学生/女子学生のスクールライフ/大学は出たけれど――ベストセラーにみる女子大学生の就職事情
V 女性解放
 太平天国の女性政策/清末の女性解放理論/立ち上がった女たち/反纏足運動/「自由恋愛」のゆくえ/女性兵士/中国共産党と女性解放/妓院と廃娼運動/「慰安婦」問題/女性学からジェンダー研究へ/女性NGO   コラム:太平天国と江南の女性たち/秋瑾/放足の代償/長征の女性兵士と花木蘭/《紅色娘子軍》/「慰安婦」の証言
W 労 働
 男耕女織/家事労働/近代女性の職業/共産党の女性労働政策/女性労働の周縁化/「女は家に帰れ」/改革開放後の農村女性/データと図版でみる現代の女性労働問題   コラム:土器づくりから紡織へ/鉄姑娘/言葉からみる現代の働く女性/女子学生の就職活動
X 身 体
 髪/化粧/衣服/美女/纏足/娯楽/スポーツ・レクリエーション/スポーツ界の女性/出産/セックス/セクシャル・マイノリティ   コラム:女子大生とミスコン
Y 文 芸
 詩歌/清楼文化と妓女/女性作家の誕生/女性作家の活躍/女性主義文学の誕生/新時代の女性文学/音楽/美術/女書/舞台女優/映画女優/現代演劇と女性演出家   コラム:工芸刺繍/映画《画魂》―潘玉亮の数奇な生涯/《白毛女》/演劇人の登竜門/女性演劇 越劇
Z 政治・ヒエラルキー
 後宮制度/皇太后による執政/女帝 武則天/つくられた悪女/家庭内の女性のヒエラルキー/指導者の妻の役割/江青と文化大革命/現代中国の女性リーダー/考古学からみた女性/母系社会の存在   コラム:呂太后と西太后/中華民国時期の妻妾問題/宋家の三姉妹/寡婦 何香凝/女優時代の江青/王光美/楊綿綿――実業界キャリア女性の草分け/婦好墓
[ 信 仰
 女神/年中行事/民間信仰/道教/仏教/キリスト教/イスラーム教
略年表/あとがき/索引
執筆者(○は編集委員)
 伊藤徳子[=上原徳子]、大浜慶子、○大平幸代、○筧久美子、木津祐子、姜若冰、白水紀子、杉本史子、杉本雅子、角谷常子、銭鴎、竹内理樺、田村容子、張軼欧、津守陽、○遠山日出也、中純子、永井英美、○中山文、○成田靜香、難波純子、○西川真子、○野村鮎子、橋本草子、羽田朝子、○濱田麻矢、○林香奈、保科季子、松家裕子、○松尾肇子、森岡ゆかり、横山政子、劉小俊、梁音

本会との関わりが深い出版物

台湾女性史入門編纂委員会編『台湾女性史入門』(人文書院 2008年 2600円)(amazonのページ

 『中国女性史入門』の姉妹編です。この本は会として作成した本ではありませんが、多くの会員が作成に参加しました。

T 婚姻・家庭
 略序/1家族形態/2結婚観/3婚姻法・離婚法/4離婚/5相続権/6媳婦仔【シンブアー】/7ドメスティック・バイオレンス/8国際結婚と新移民女性/9児童の養育  コラム:少子化/女性の社会進出とベビーシッター/同性の伴侶/台湾のDV防止法の特色
U 教 育
 略序/1日本統治以前の女子教育/2日本統治期の女子教育/3戦後の女子教育/4女子留学生/5女子の職業教育/6社会教育と女性/7ジェンダー・イクォリティ教育法/8新移民女性の教育  コラム:伝統女子高の今/強要された大和撫子/『宝妹【パオメイ】と小明【シャオメイ】のお話』―ジェンダー・イクォリティ教育のテキスト/新世代の家政科/女子高生の星楽儀旗隊/気になる日本――日本語を学ぶ台湾女性/夢に向かって、日本留学
V 女性運動
 略序/1日本統治期の女性運動/2戦時下の女性動員/3戦後の女性解放運動の始まり/4民主化と女性運動の高まり/5女性の政治・経済への参加/6女性運動の主流化/7女性団体/8戦後の娼妓政策と廃娼問題/9「慰安婦」問題  コラム:性暴力からの解放――ケ如雯と彭婉如/身心障害者保護法と女性/陳妹おばあちゃんの物語/台湾大学「婦女研究室」/行政院婦女権益促進委員会
W 労 働
 略序/1日本統治以前の女性労働/2日本統治期の女性労働/3戦後の経済発展と女性労働者/4性別職域分離/5職場における女性差別/6労働法規と女性/7外国人女性労働者/8家事労働/9女性労働者間の格差/10 貧困の女性化  コラム:帽子を編む女性/起業で羽ばたく女性たち/大学生のアルバイト事情
X 身 体
 略序/1纏足解放運動/2服飾の変化/3戦前の娼妓制度/4台湾女性とスポーツ/5性解放運動/6出産と堕胎/7レズビアン/8セクシャルハラスメント  コラム:黒猫 黒狗【オーニャオ オーガオ】─―政治と大衆文化/女子高生の制服/哈日族【ハーリーズー】とファッション/檳榔西施/電子花車 /台湾漢民族の妊娠に関するタブー
Y 文 芸
 略序/1女性漢詩人/2日本統治期の女性文芸/3戦後の女性詩人/4戦後の女性作家/5フェミニズム作家概況/6クィア文学/7音楽/8美術/9舞台女優/10歌仔戯/11映画女優/12女性監督  コラム:アジアの歌姫 テレサ・テン/大女優 張美瑤/故宮博物院初の女性院長 林曼麗
Z 政治・ヒエラルキー
 略序/1女性と訴訟権/2日本統治期の女性の参政/3日本統治期の女性団体/4戦後初期の女性の参政/5二・二八事件、白色テロと女性/6現代の女性政治家/7現代の女性リーダー/8女工という階級  コラム:台湾の裁判制度と女性裁判官/台湾の女性革命家 謝雪紅/台湾最初の女医 蔡阿信/台湾初の女性市長 許世賢/白色テロの生んだ悲劇――蒋碧玉
[ 信 仰
 略序/1媽祖信仰/2年中行事/3シャーマニズムと道教/4仏教/5新興宗教/6キリスト教  コラム:マカイと張聡明
\ 原住民
 略序/1婚姻・家庭/2教育/3労働/4工芸/5身体/6文学/7音楽/8政治/9信仰  コラム:パイワンの少女オタイ/日本人の妻となった原住民女性たち/サヨンの鐘/リカラッ・アウーとその作品に描かれた台湾原住民族女性/原住民女性が大学で「学ぶ」こと/原住民女性初の立法委員 高金素梅/プユマ族の村から世界へ――張恵妹
略年表/索引/あとがき
執筆者(○は編集委員)
 相原里美、張志樺、○張晋芬、張斐怡、張c、○陳昭如、陳建忠、陳麗貴、陳美華、陳明柔、陳湘涵、陳瑩芝、陳韻如、全淑娟、荘韻親、紀欣、邱伊翎、○邱貴芬、邱淑芬、范情、藤田道代、濱田麻矢、韓燕麗、羽田朝子、○洪郁如、○林香奈、謝明如、謝仕淵、許時嘉、黄美娥、○黄英哲、飯島典子、柯小菁、○顧燕翎、頼明珠、○頼淑娟、頼采児、拉娃・布興(Lawa Pusin)、李恵珊、李文卿、○李玉珍、林芳玫、林霓玲、林実芳、劉孟哲、盧詩婷、呂淳ト、馬昀甄、松井直之、松家裕子、松尾肇子、苗延威、永井英美、中西美貴、○中山文、○成田靜香、○西川真子、○野村鮎子、○大平幸代、匕朮一・莫奈(Pisuy Bawnay)、石婉舜、白水紀子、須藤瑞代、杉本史子、○竹内理樺、田村容子、陳偉智、唐芸、遠山日出也、豊田周子、曾秋美、内田純子、上原徳子、魚住悦子、王如玄、王麗華、王櫻芬、呉信慧、呉玫儀、○呉燕秋、山本芳美、楊翠、楊亜瑄、楊雅慧、楊玉君、横山政子、○游鑑明、余暁嵐

書評など
 ・小山静子「よく錬られた台湾女性史の入門書[PDF]」『東方』338号(2009年4月)
 ・宮崎聖子「台湾にも近づき、私たち自身の歴史にも近づく道を示す」『図書新聞』2908号(2009年3月7日)
 ・他にも、『季刊家計経済研究』に久木元真吾氏による書評が掲載されています。
 ・また、『女性史学』19号(2009年7月)に広瀬玲子氏による紹介、『中国女性史研究』18号(2009年1月)に成田靜香氏による紹介、『台湾の元「慰安婦」裁判を支援する会会報』24号(2009年4月25日)に柴洋子氏による紹介が掲載されています。

野村鮎子・成田靜香編『台湾女性研究の挑戦』(人文書院 2010年 3780円 amazonのページ

 この本は会として作成した本ではありませんが、本会がおこなった「台湾女性研究論壇」を基礎にして作成されました。

T 変革の道程
陳 昭如(林香奈訳)「『不孝』の権利――台湾女性の相続をめぐるジレンマ」
〈解題〉林香奈「脱性別化した法は性差別に対抗しうるか――娘の相続にひそむジェンダー不平等への問いかけ」
張 晋芬(大平幸代訳)「台湾の女性労働力および職場におけるジェンダー不平等」
〈解題〉大平幸代「働きやすい社会へ――張晋芬氏に聞く、働く台湾女性の現状と課題」
顧燕翎(羽田朝子訳)「フェミニズムの体制内改革――台北市女性権益保障弁法制定の過程と検討」
〈解題〉洪郁如「台湾のフェモクラットとジェンダー主流化」
范 情(竹内理樺訳)「台湾女性運動の歴史をふりかえって」
〈解題〉竹内理樺「政治の民主化とともに――台湾女性運動の歩み」

U 社会進出の道程
游鑑明(坪田=中西美貴訳)「日本植民体制と台湾女性医療従事者」
〈解題〉坪田=中西美貴「台湾女性の近代経験とライフ・コースの変容」
李玉珍(成田靜香訳)「出家による社会進出――戦後台湾における女性僧侶の生き方」
〈解題〉成田靜香「戦後の台湾仏教における先駆的女性」
頼 淑娟(野村鮎子訳)「部落と都会の間――台湾原住民女性の世代間における経済活動の変転」
〈解題〉野村鮎子「可視と不可視の間――原住民族女性の今日的課題」

V 女たちの声を聴く
呉燕秋(中山文訳)「戦後台湾女性の堕胎心性史」
〈解題〉中山文「台湾・中国・日本における堕胎の心性比較」
邱貴芬(田村容子訳)「女性史研究の方法――ある台湾ドキュメンタリー・フィルムを例として」
〈解題〉田村容子「『サバルタン』が語る/騙るとき――台湾女性史研究における台湾女性ドキュメンタリー・フィルムの可能性」

書評など
 ・遠山日出也「水準の高い研究書 日台の女性の研究交流の大きな成果」『週刊読書人』2850号(2010年8月6日号)
 ・須藤瑞代「[書評]野村鮎子・成田靜香編『台湾女性研究の挑戦』(人文書院 2010年)」『中国女性史研究』20号(2011年2月)

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