中国の女性NGOに関する英語・日本語文献目録
(遠山日出也作成、2009年10月5日改訂)
中国において女性やジェンダーの問題に取り組むNGOや、女性が主体となって組織されたNGOに触れた英語や日本語の文献を紹介します。赤字が記述のあるNGOです。
凡例
・ここでは「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」で挙げている団体を(含めて)論じているものを挙げます。
・日本語文献は数が少ないので、ごく簡単に触れているにすぎないものも挙げてあります。
・[ ]が付いているのは、HPが存在していないなどの理由から、このHPリストには挙げられていない団体です。
・このページは作成中ですので、漏れているものがたくさんあります。
・中国語文献は数が非常に多いですが、高小賢・謝麗華主編『中国婦女NGO成長進行時』(金城出版社 2009年)という本が、ずばり中国の6つの代表的な女性NGOについて書かれた本です(内容の紹介)。その他、中国本土の婦女連合会や女性NGOの活動が包括的に理解できる文献に、王金玲主編『中国婦女発展報告 No.1(´95+10)』(婦女発展藍皮書)(社会科学文献出版社 2006年)と譚琳・姜秀花主編『中国婦女組織発展的理論与実践』(社会科学文献出版社 2007年)があります。前者は、北京会議の「行動綱領」のテーマごとに女性組織の活動が述べられています。後者は女性組織に関する論文集ですが、巻末に中国大陸の女性組織についての簡単な解説付き名簿も掲載されています(ただし、研究機関の比率が高い)。
目次
中国本土|台湾|香港|国際機関・団体
中国本土
英語文献
- Cecilia Milwertz, Beijing Women Organizing for Change: A New Wave of the Chinese Women's Movement, Nordic Institute of Asian Studies Press 2002
- 北京紅楓婦女心理諮詢服務中心(中国管理科学研究院婦女研究所の時代から記述している)(p.29-50)、[中国社会工作協会京倫家庭科学中心](p.51-91)、打工妹之家(現在は農家女発展文化中心の傘下)(p.93-114)について、それぞれ1章を割り当てて論じている。そのほか1980年代以降に北京に存在した、多くの女性NGO(すでに消滅したものも含む)について歴史的に論じた非常に重要な文献。
- Chinese Women Organizing: Cadres, Feminists, muslims, queers. (ed.Hsiung, Ping-Chun; Jaschock, Maria; Milwertz, Cecilia), Berg publishers, 2002
- 1999年にオックスフォード大学で開かれた、Women Organizing in Chinaというワークショップが元になってできた本。この本も、すでに消滅(または発展的に解消)したものも含めて、1990年代以降の女性NGOを多く取り上げている。このHPリストに挙げられている団体について論じているのは、以下の論文。
Gao Xiaoxian(高小賢), "Strategies and Space: A Case Study of the Shaanxi Association for Women and Family"(p.193-208)‥‥陝西省婦女理論婚姻家庭研究会について。
Cai Yiping, Feng Yuan and Guo YanQiu(蔡一平、馮媛、郭艶秋)"The Women's Media Watch Network"(p.209-226)‥‥婦女伝媒監測網絡について。
他にも、北京紅楓婦女心理諮詢服務中心、打工妹之家など多くのNGOに触れている。
- Cecilia Milwertz, "Activism Against Domestic Violence in the People's Republic of China", Violence Against Women, Vol.9 No.6(2003)(p.630-654)
- [中国社会工作協会京倫家庭科学中心](p.639-646)。ほか反対家庭暴力網絡などについても。
- Jude Howell, "Women's organisations and civil society in China", Gender and Civil Society: transcending boundaries(ed.Howell, Judd; Mulligan, Diane), NewYork, Routlege, 2005
- 改革開放期における中国の女性組織の発展と、中国の市民社会の形成にとってのその意味を論じる。婦連とNGO諸団体を取り上げる。
- Sharon Wesoky, Chinese Feminism Faces Globalization, Routlege 2002
- この文献も、第6章で「女性運動におけるNGOの出現」を論じるなど、多くの女性NGOに触れている。
日本語文献
- 劉伯紅(大浜慶子翻訳、秋山洋子解題)「中国女性NGOの発展 抄訳」『国立女性教育会館研究ジャーナル』11号(2007年8月)113-120頁(本文
- 「中国婦女非政府組織的発展」『浙江学刊』2000年第4期の抄訳。英語版は、上記のChinesn Women Organizing: Cadres, Feminists, muslims, queers.の“The All China Women's Federation and Women's NGO”。
- 韓会敏(大橋史恵・訳)「打工妹之家10年の道程」『中国女性史研究』16号(2007年1月)
- 打工妹之家について論じている。
- 大橋史恵「現代中国における女性運動の複層性と移住家事労働者のエンパワーメント−北京市・『打工妹之家』を事例として−」『F−GENSジャーナル』4号(2005年)69-76頁
- 打工妹之家について論じている。
- 「若い出稼ぎ女性とともに 中国女性労働者ネットワーク」(Clean Clothes Campaingn発行Made by Womenより。中村洋子訳)『CAWネットニュース』No.18(2006年5月)2-4頁
- 女工聯網(女工関懐。CWWN[the Chinese Working Women Network])の活動を紹介した文献。
- 遠山日出也「中国におけるドメスティック・バイオレンスに対する取り組み」『中国21』27号
(2007年3月)
- 反対家庭暴力網絡を紹介。
- 遠山日出也「近年の中国における離婚女性の諸問題に対する女性たちの動向」『女性歴史文化研究所紀要』15号(2007年3月)
- 北京紅楓婦女心理諮詢服務中心の方舟家庭中心にかなり触れる。
- ともこ「山の中のNGO活動 1」、「山の中のNGO 2 フィールド篇」、「ハンセン病患者への活動@四川省」少数民族地域の貧困問題について現地レポートするブログ「週刊中国的生活」2008年3月16日〜3月22日付記事
- 涼山彝族婦女児童発展中心を訪問した記録。
- 遠山日出也「最近の中国の女性労働問題をめぐるさまざまな女性たちの動き」『女性学年報』第26号(2005年11月)
- 北京大学法学院婦女法律研究与服務中心に触れる(128-129,130頁)。
- 李鋭「女性――中国の環境NGOの主力」(まん中よりやや下の方を見てください)
- 北京地球村環境文化中心について。
- 松澤節子「中国の環境団体の台頭および女性参加の現状」『アジア女性研究』12号
- 北京地球村環境文化中心について述べる。
- 沈潔「施設介護福祉の拡充」沈潔編著『中華圏の高齢者福祉と介護』(ミネルヴァ書房 2007年)
- (女性NGOというわけではないが)鶴堂老年福利協会に触れる(89-94頁)。
- 王名, 李妍焱, 岡室美恵子『中国のNPO:いま、社会改革の扉が開く』(第一書林 2002年)
- 中国のNPO全般に関する書物として重要である。このサイトのトップページに掲載されているもののうちでは、北京地球村環境文化中心(92-93,115,121頁)、中国計画生育協会(97,113,157頁)、中国人口福利基金会(98頁)、中国児童少年基金会(99頁)、農家女文化発展中心や農家女実用技術訓練学校(100,115,117,121-122,157,158頁)、北京紅楓婦女心理諮詢服務中心(98,117頁)、北京大学法学院婦女法律研究与服務中心(98,157,158-159頁)について、それぞれ簡単に触れている。
- 李妍焱編著『台頭する中国の草の根NGO――市民社会への道をさぐる』(恒星社厚生閣 2008年)
- こちらの本も参照のこと。
台湾
英語文献
- Fen-Ling Chen, Working Women and State Politucs in Taiwan: a study in political economy, St.Matin's Press
- 題名のとおり主に女性労働問題を扱っているが、「5 Wonen's Movements and Women in the Policy-Making System」「7 Emergence of the Gender Employment Bill」「8 Conclusion:Towards a Teoretical Historical Account of Gender Inequality in Taiwan」などで、女性団体の運動についても述べている。
日本語文献
- 黄齡萱「台湾女性運動の軌跡――売春児童保護運動から『妓権』労働運動へ――」『技術マネジメント研究』6号(2007年)9-20頁
- 黄齡萱「現代台湾における女性運動の動向――『性権派』と『婦権派』の対立を中心に――」『ジェンダー史学』4号(2007年)87-93頁
- 台湾の女性運動における「性権派」(権利派)と「婦権派」(道徳派)との対立の構図をまとめたうえで、これからの課題も述べる。
- 石塚友子「『新女性主義』を掲げて」『季刊中国研究』19号(1991年4月)28-43頁
- 呂秀蓮と李元貞(「婦女新知」社)を中心に、1990年ごろまでの台湾の女性運動をまとめる。
- 秋山洋子「台湾における女性学論争」『女性学年報』13号(1992年10月)111-115頁
- 1991年ごろ起きた、フェミニストグループ(「婦女新知」社など)による、大学の女性研究に対する批判を紹介
- 『アジアの仲間』(アジア女子労働者交流センター機関誌)第46・47合併号(1993年10月)(台湾研修ツアー特集号)
- [女工団結生産線]、婦女新知基金会、主婦連盟環境保護基金会(主婦連盟)、晩晴婦女協会、台北市婦女救援基金会を訪問し、それらの団体の活動を紹介している。
- 三宅清子「台湾 ゴミから原発まで女たちのたたかい」『女たちの21世紀』7号(1996年6月)41-43頁
- 主婦連盟環境保護基金会(主婦連盟)に触れる。
- 新井ひふみ「遅れてきた『リブ』たち」(『別冊宝島WT 台湾興奮読本』宝島社 1996年)
- 1990年代の台湾の女性解放運動を生き生きと伝えている。
- 松井やより『女たちがつくるアジア』(岩波書店 1996年[岩波新書])
- 「台湾とタイの観光開発」で、基督教門諾会花蓮善牧中心に少し触れる(p.142-143)。
- 戒能民江「台湾家庭暴力防止法から学ぶ」戒能民江編著『ドメスティック・バイオレンス防止法』(尚学舎 2001年)136-161頁
- 台湾のDV防止法の制定の背景、制定過程、その内容、運用状況などについて述べた論文だが、その立法過程における現代婦女基金会などのNGOの役割に触れる。
- 久野綾子「特集・台湾のDVとりくみ見聞記」『おんなの叛逆』49号(2001年)29-54頁
- 天主教善牧基金会、[新事社会服務中心]、現代婦女基金会などの活動をレポートしている。
- 「台湾におけるドメスティック・バイオレンス政策調査研究」報告書・編集委員会編「『台湾におけるドメスティック・バイオレンス政策調査研究』報告書」(発行)お茶の水女子大学21世紀COEプログラム「ジェンダー研究のフロンティア」(F-GENS)プロジェクトA1「アジアにおけるジェンダー政策とその評価に関する研究」(2006年3月)
- 私のブログ参照
- セックスワークの非犯罪化を要求するグループ・ UNIDOS「台北市(台湾)の廃娼と日本の売防法」『インパクション』110号(1998年10月)161-162頁
- 芳崎まなち「『民主化』台湾の欺瞞を露呈させた公娼たちの闘い」『インパクション』120号(2000年7月)76-79頁
- 水島希「台北市公娼たちの闘いは続く――二年間の緩衝期間終了。その後どうなるの?」『インパクション』123号(2001年2月)174-176頁
- 上の3編は、日本の「セックスワークの非犯罪化を求めるグループUNIDOS」のメンバーによる報告だが、いずれも短文。台北市公娼自救会(1998年5月〜日日春関懐互助協会(日日春)(Collective Of Sex Workers And Supporters)(COSWAS))の運動を紹介しつつ、彼女たちとの連帯を模索する。
- 水島希「セックスワーカー研究(2) 台北市公娼たちの労働運動に学ぶ」『セクシュアル サイエンス』(オンラインマガジン)2006年2月号
- 同上。
- 金戸幸子「台湾『両性工作平等法』成立過程に関する国際社会学的考察――多様化社会建設に向けた国家戦略としてのジェンダー主流化をめぐって――」(PDFファイル)『日本台湾学会報』7号(2005年5月)18-43頁
- 「両性工作平等法」の成立過程についての分析をつうじて、台湾の政治的ダイナミズムを背景に、ジェンダー平等が先進的に法整備させる過程を考察した研究。そのなかで、婦女新知基金会などの女性団体の動向にも触れる。
- 徐明仿「政治の民主化と高齢者福祉の進展」沈潔編著『中華圏の高齢者福祉と介護』(ミネルヴァ書房 2007年)
- (女性団体というわけではないが)老人福利推動聯盟に触れる(179-181頁)。
- 蔡盈修・蕭新煌「台湾にみる外国人労働者・配偶者とNGO」西川潤・蕭新煌編『東アジアの社会運動と民主化』(明石書店 2007年)
香港
日本語文献
- 「香港スタディツアー2004報告」『女たちの21世紀』41号(2005年冬)69-84頁
- Asian Migrant Centre(AMC)、[Asian Migrants Coodinating Body(AMCB)]、紫藤、群福、青鳥、[Gusty Women(不示弱女人)]を訪問し、それらの団体の活動を紹介している。
- 『アジアの仲間』(アジア女子労働者交流センター機関誌)第40・41合併号(1992年10月)(香港・中国研修ツアー特集号)
- 香港婦女労工協会、基督教家庭服務中心を訪問し、それらの団体の活動を紹介している。
- 楊漪珊(ヤン・イーサン。上田祥恵訳)『香港性工作者』(小学館 2002年)(小学館文庫)
- 青鳥(リーチアウト)の活動に触れる(35-58,267-269頁など)。
- 「香港・家事労働者組合 4・18条項を打ち破り、非正規労働者に権利を!」『CAWネットニュース』10号(2003年7月)
- 広木道子「『メイド』ではなく、家事労働者」『CAWネットニュース』23号(2008年1月)
- 上の2件の記事は、いずれも香港家務助総工会の活動を紹介。
- 「越境する女性労組B 清掃 低賃金化に歯止め」『朝日新聞』2007年8月2日夕刊(竹信三恵子記者)
- 香港女性労工協会、清潔工人職工会、大学師生監察無良企業行動(Students and Scholars Against Corporate Misbehavior [SACOM])などを報道。
国際機関・団体
- 広木道子『アジアに生きる女たち 女性労働者との交流十五年』(ドメス出版 1999年)
- Committee for Asian Women(CAW)について述べている。
- 水島希「セックスワーカーの運動」姫岡とし子ほか編『労働のジェンダー化』(平凡社 2005年)
- Asia Pacific Network of Sex Workers(APNSW)の活動について紹介している部分が多い。
その他、私のブログ中国女性・ジェンダーニュース+でも、中国の女性やジェンダーに関するNGOの活動を多数紹介しています。
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